ご挨拶

獣医神経病研究会は、診療に役立つ神経病診断法を広く啓蒙するこ
とを目的に、前会長徳力幹彦先生を核にして1993年に設立されました。
当時は、動物における神経病の日常診療は抗てんかん薬の処方、投与
や椎間板ヘルニアの管理などが主体であり、脳腫瘍など中枢神経疾患
の正確な診断は死後の病理学的検査に委ねざるを得ない状態でした。
決定的な診断法が無い中で、症状、身体検査、神経学的検査、
X線検査、電気生理学的検査などを丹念に積み重ねて診断精度をあげ
る努力がなされ、その成果は織間博光(日獣大)、中山正成(奈良県)、
諸角元二(埼玉県)、渡邊直之(静岡県)らの諸先生によって体系的に
整理されて教育講演、講習会の中で会員や若い獣医師に紹介されて
きました。
これらの診断法は、種々の技術が進歩しても、将来とも神経病診断の
基礎として長く伝えられて行くべきもので、本研究会の財産としてマニュ
アル化するとともに啓蒙普及を続けてゆく必要があると考えています。
このような神経病診断の状態を大きく変えたのは、山口大学に始まった
MRI診断装置の導入でした。
この7−8年の研究会は、この新しい診断法の有用性と限界を見極める
ことに大きな力を注ぎ、二次診療施設の日常診断にこの診断法を組み
込み、開業獣医師にとっても身近な存在とすることに成功しました。
この過程で、診断可能となった疾患には病態が明らかになっていない
ものも多く、今後の本研究会は、従来の啓蒙活動を続けながら、同時に
研究活動を推進する必要があると考えています。
診断が進歩するに連れて、治療法が大きな課題となります。
また、行動学、臨床遺伝学、医学などの隣接分野との交流も徐々に
増してゆく必要があります。
本研究会は初夏(東京)、冬(京都)の2回の研究会と夏に開催される
講習会を定期的に続け、2003年に設立10周年記念大会(第21回大会 :
京都)を迎えました。
10周年を契機として、神経病に関する知識、技術の啓蒙に中心を置いた
第1期から、啓蒙と同時にその名にふさわしい研究も行う会として発展
してゆきたいと願っています。
そのために、2004年には研究部会を創設し、講習会を症例検討会に
移行しました。
今回のホームページの刷新は研究会誌の機能を補完し、多くの会員に
最新かつ適切な情報を提供したいと考えて企画したものです。多くの
会員のアクセスを期待しています。         平成18年1月17日